オトコの腐ったようなやつ

小説・コミックの感想、ゲームプレイ日記、雑記

多いと選べない、少ないと寂しい

積読の話

ただいまの商業誌の積読は12冊、同人誌は8冊で計20冊。

同人誌あれだけ買ったのに怒涛の勢いで読んでしまって非常に寂しい。

積読本の量は人によりけりだが、私は10冊を切ると心もとなくなる。

10冊を切ると、積読の中に多様性がなくなりその日の気分に合わせて

出勤のお供本を選ぶのに非常に苦労する。

「今日はBLかしらん」「それともSF?」「いや、ラノベか?」というのが

毎朝の楽しみであるので、外に持ち出せる本の積読を10冊は持っておきたい。

それが高じすぎて、どれを選んでいいのか分からなくなったことがあった。

しかも感想をブログに書くために、読むのに気構えてしまって読むペースが落ちて、

6畳間だというのに気がついたら300冊の未読本を溜め込んでいた。

一念発起して、なんで買ったのか覚えていないような、5年ぐらい寝かせていた本は

読まずに処分して減らしたりした。もったいないことをしたなあ……。

選択肢がないと寂しく、ありすぎると選べない。バランスよく維持したいものである。

 

今日の感想

ちょっと前に話題になった本を読むシリーズ。「何者」/朝井リョウ、読了。 

何者 (新潮文庫)

何者 (新潮文庫)

 

表紙がいかにも就職活動を題材にした本でござい、という印象があり、

就活にいい思い出なんて1つもない自分にとっては痛そうな話で避けていた。

何しろ私も1月に就活が始まる世代で、7月の終わりまでやっていたから。

でも、もうそろそろ痛みもしないだろうと思って手にとってみた。

いやいや、これ就職活動より痛いこと書かれていたよ!

たまたま就職活動が激しく表面化しやすいという機会なだけで、リアルで生活して、

SNSで別のペルソナをかぶってネットで写真や短い文章で充実した自分を表現する、

パラレルワールドのように重なったリアルとネットを生きている私たちにも、

この少しずつ乖離していく感覚はわかるんじゃなかろうか。

意識高い系を嘲笑い、バンドやってた同居人を下に見つつ、

自分は別の価値観を持っていると思って、自意識だけは高くて、

愚痴はサブアカで叫び、みっともない部分を認められず、

「想像力が足りないよ」とヒガナにいわれて、何者でもない自分、

いるよ、いますよ、まだ自分の中にネットの上に。あーブスッと突き刺さる。

ほんの少しの言葉の向こうにいる人間そのものを、想像してあげろよ、もっと

はい、そのとおり。表面だけに慣れすぎてたけど反省します。

 

就活している時の辛さもとてもよく書かれているけれど、

ラストはストレートな励ましだし、むしろ就活している時なら

もっと心を揺さぶられたかも。しかしよくここまで観察できるな……。

朝井リョウは優れた観察者であり表現者だなあ。何者でもなくない。堪能しました。