自分にとってのあの頃
すでに盆休みも折り返し、残すところ少なくなった。
長期休暇をグラブルのみに費やすのももったいないので
たまには感想でも書こう。ということで、
「あの頃のBLの話をしよう」/かつくら編集部編 の感想です。
BLについては、研究本が少しずつ出始めているが、
商業誌が出始めた頃のBL黎明期の流れを
インタビュー形式で取材した珍しい着目点の本。
その頃は私はまったくこちらに足を踏み入れていなかったので、
当時の雰囲気をうかがい知ることができて面白かった。
で、どのインタビューされた方にも共通していたのは、
BL創刊ラッシュを一過性の熱と感じていたということ。
仕事がいくらでも舞い込んで皆忙しかっただろうに、
バブルの雰囲気は共通して感じられたということが興味深い。
同人界隈が中心なので、これを耽美側、JUNE中心に
活動していた方に同様にインタビューしてみたら
どのような話になるのか、とても読んでみたい気がする。
自分にとっての「あの頃のBL」は2回ある。
1回目は初めてBL小説に触れたとき、2回目はBL小説に出戻ったとき。
1回目は田舎の高校生でお金もなく、今のようにネットもなかったから、
全体的な熱はわからなかったが、学園もの・リーマンものが
様々な出版社から毎月新刊が出ていて盛況だったように思う。
2回目の出戻ったときは、より細分化されてはいたものの、
やはり毎月大量の新刊が出版され、ネットが発達したおかげで
ブログで新刊の感想を言い合ったり、本を薦め合うこともできた。
よく考えたら、1回目も2回目も、まだバブル期だったのかもしれない。
翻って今を鑑みると、紙のBL小説誌は3誌しかなく、新刊もちらほら、
細分化されすぎてテンプレート化している「〜もの」。
成熟したと言えるのかもしれないが、なんだか寂しい気もする。
インタビューの中でBLを好きな人はいなくならない、とあったが、
それは商業BLが存続することとイコールではないよね。
今のそこはかとなく漂う閉塞感というかバブル終焉後の
黄昏れた雰囲気を感じているのは自分だけなのだろうか、
それとも皆に共通しているのだろうか。そうでないと願いたい。