いつも左手に書
いつもポケットにショパンをもじったつもり。
日曜の夜から今日にかけて、1冊の本を読み続けていた。
それは「図書館の魔女 烏の伝言」。
左手に本を抱えて読む癖があるので重い本を読んだときは
いつも左手が痛むが、それも忘れてしまうくらいに面白かった。
3日間で読んでしまうなんてもったいないほどだ。
前作は「図書館の魔女」のおわす図書館の国をメインに描かれていたが
今作はその相手側の国、といっても対立する立場の者たちではなく、
むしろ対立する者たちに翻弄される民草たちがメイン。
図書館の魔女ことマツリカがなかなか出てこないので残念だったが、
山賤(やまがつ)や烏飼の弁えといった、前作とはまた異なる知識、
ちりばめられる細かな謎、誰が味方で誰が敵だかわからない錯綜、
それらにどっぷりと浸かってあっという間に本の中。
あーもうこのファンタジーへのトリップはたまらない!
非常に後味の悪い真相が待ち構えているが、
メインの登場人物の魅力が帳消しにしてくれるし、
マツリカが登場してから加速する前作にも劣らぬ「ことば」の力を
見せ付けられるトリックに心地よく読み終えた。
言わないこと、選ばないことを重ねると真実が見えてくる、
というトリックは本当にこのシリーズと相性がいい。
ピクロスや数独と同じで、塗りつぶせない、埋められないところに
重要なヒントがあって、そこが鍵となって読める!読めるぞ!と
なるのは快感である。(まあ、真相が明かされるまで全然分からん馬鹿なのだが)
前作のもう一人の主人公、キリヒトは登場しないのが残念だが、
続きが出るならいつかまみえる時が来るだろう。その日が待ち遠しい。
がっぷり四つで組み合ったので、左手のためにも次は軽いBLを読みたい。