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オトコの腐ったようなやつ

腐ってます。小説・コミックの感想、ゲームプレイ日記などが中心。

どこにも無い

わりと早く帰れそうだし今日はジムでも寄ろうかしらん、と
思ったが、急な納期確定の連絡と、電車遅延でお流れ。
平日は行ける時に行かないとダメだな。

おかげでというべきか、今日読み終わるはずではなかった
「キリンヤガ」/マイク・レズニックを読了。

キリンヤガ (ハヤカワ文庫SF)

キリンヤガ (ハヤカワ文庫SF)

 

なんでこれKindle化されてないんだろ?すごく面白かった。

アフリカのキクユ族の、昔ながらの生活を保ちたい人たちのために
テラフォーミングされたユートピア惑星があり、
そこにて自治のかたちで生活させているという設定はたいへんSFだが、
なんでそんな大掛かりなことをしているのかという説明は無く、
技術的な記述もなく、寓話のために作られている世界観なので
難しくなくとても読みやすかった。いい意味でSF読んでる気がしない。

難しかった…というか、まだ頭の中で整理できていないのは、
ユートピア(完成された世界)で変わることなく暮らすのが幸せなのか、
それとも文明人からの影響を受け、発展することが幸せなのか。
どちらも自分たちなりのユートピアを目指しているから、
どっちが正しいなんて答えは出ない。

ただ、厳密に変わらないユートピアを作り上げようとした祈祷師と、
はじめはそれに賛同していた人々が次第に変わり文明に染まるようになる、
覆しようの無い変遷に諸行無常を感じた。
文明や宗教がぶつかりまくっている現代社会、単なる寓話と笑えない。

また、それぞれの短編の完成度が高く、ユートピア崩壊の初まりともいえる、
「空にふれた少女」はもっとも停滞と発展との折り合いの難しさを
示していてお気に入り。(表紙の少女もこの話の子だしね)

私にとってのユートピアは……とりあえず、
人身事故のせいで気が立った乗客同士で喧嘩しない世界かな。